今日は夢野久作の誕生日。ならばということで青空文庫から夢野久作「いなか、の、じけん」を読みました。
夢野久作と言えばまあ『ドグラ・マグラ』。本作品も短篇集とは言え、なんらかの「おどろおどろしさ」を覚悟して読み始めたのですが…。
読んでみると滑稽本かと思える愉快な内容。夢野久作がどこからこんな話の種を引っ張ってきたのだろうと思えば
みんな、私の郷里、北九州の某地方の出来事で、私が見聞致しましたことばかりです。五六行程の豆記事として新聞に載ったのもありますが、間の抜けたところが、却って都に住む方々の興味を惹くかも知れぬと存じまして、記憶しているだけ書いてみました。場所の事もありますので、場所と名前を抜きにいたしましたことをお許し下さい。とのこと。ほんとかな、これ^^? でも確かに私個人的な九州体験からすれば考えられることかも?
それにしても青空文庫の作品には、当たり前だけど
この作品には、今日からみれば、不適切と受け取られる可能性のある表現がみられます。その旨をここに記載した上で、そのままの形で作品を公開します。と注意書きの入った作品が多い。
普通の「本」からは「配慮」によってどんどん言葉が消えていっています。そういう「環境」の中で、「不適切」な言葉と「ハイカラ」な言葉の共存を見るのはある意味で興味深い。まあ「普通の言葉」を選択したつもりで書いた著者の考えとは異なる「興味深さ」なわけだけど。
「読書人」としてのみ考えるならば、「不適切」な言葉であれ、存在した言葉には残っていて欲しいものです。