気になったこと日記 on はてな

突然ですがこちらに移転しました。

ヴェニスの商人をいつ読みましたか?

今日の「岩波の名言」は『ヴェニスの商人』より。

この『ヴェニスの商人』、たいていどのくらいの時期に読むものなんだろう。私の場合は親に泣いてせがんだ世界少年少女名作全集(全50冊くらい)で、小学校4年生の頃だった。

# 今思えば結構抄訳なんかもあったから善し悪しだったな…

初めて読んだときからこの作品、嫌いなんですよね^^。悲劇を乗り越えた喜劇にしてしまおうということなのかもしれないけれど、なんだかシャイロックの描き方があまりにあざとい。

誰もが知っているように、証文の履行を迫るシャイロックは、ちょっとした条件を契約書に書き忘れたために履行の実現を諦めざるを得なくなる。「法の正義」とはかくまでテクニカルなものに過ぎないのか、「正義の精神」ってのはどこにあるのか、なんて幼いながらに悩みましたよ^^。

おまけに突然の「素人裁判官(確か素人だったよな…)」の乱入。「法秩序」を実現すべき裁判官の身分に、いきなり「調子に乗った女」の乱入を許して良いものかどうか。

ヴェニスの商人』を大枠で見ると、どうも「良い話」風になってる。だから「嫌いだ」とか「なんでこんな無茶がまかり通る?」と周囲に問うことはできなかった。でも「善であると認められそうな立場であれば無茶をまかり通して良いのか?」とすごく疑問に思った。

さらには素人裁判官の調子に乗りすぎた要求。自分の夫が生涯手放すことはないと言った指輪を俺に要求。夫は親友を救って貰ったことから泣く泣く指輪を手放してしまう。要求する時点で「調子に乗りすぎ」だし、後で夫をいじめて謝ったところで「実は裁判官は私だったの」と指輪を夫に返す。げ~。やな女。

そういうふうに、人の根本の部分を「試す」ような振る舞いは「神と人間」という超越的な関係の中でしかやっちゃいけないと聞いたぞ(笑)。

以来シェイクスピア。大学生になって「一般教養として読んでおかなくちゃいけないんだろう」という「義務感」を感じるまでは、なるべく遠くに置いておく作家となったのでした^^。