「この本、面白そうじゃない?」。そう言ってこの本を持ってきた「三十-四十代の女性」がいる。
勘弁してくれよ。こういう本、一番嫌いなんだよ。「嫌いな本でもちゃんと読んでレビューせよ」ってのが一応モットーだけど、最初の5ページで放棄。「モットー」も義務じゃないもんな。
だいたいさ。出版社の紹介文からして怪しいじゃないか。
あなたは「偉大な秘密」を手にしています。この「秘密」は、代々伝えられる中、人々に熱望され、隠され、失われ、盗まれ、莫大なお金で買われたこともありました。歴史上最も著名な人々は、何世紀も前に存在していたこの「秘密」を理解していたのです。プラトン、ガリレオ、ベートーベン、エディソン、カーネギー、アインシュタイン等の発明家、理論家、科学者、偉大な思想家達です。そして、ついに今日、この「秘密」が世界の人々の前に開示されたのです。
あほかと。そんな「偉大な秘密」があるかよ。単なる「成功法則本」に決まってるじゃないか。
記事に書いてあることも泣ける。
発売前に増刷を決め、刊行後は「評判がロコミで"秘密"めいて広がるよう、初めはタクシーのステッカーなどゲリラ的な宣伝手法をとった」と菅原哲也・海外文学編集長は語る。なんてチープなんだ…。そういうチープな仕掛けをされると絶対に読みたくなくなるよね。
持ってきた女性に言った。「君さ。なんであんな本買うの。インチキビジネス書みたいの?」。彼女応えて曰く。「え、ダヴィンチ・コードみたいのじゃないの?」。
げ~ん。紹介文とか、あと中の活字の組み方からして怪しさ万点なんだから、それくらい見て買えよ(涙)。
「でもまあ君。買って俺に読めと言った責任もあるんだから、ちゃんと読めよ」。彼女曰く。「え、もうブック・オフに売っちゃったよ」。
結局彼女は1行も読んでないそうだ。彼女。しばしば本を持ってきては私に読ませる。私がつまらないと言った本はそのまま放置する。リトマス試験紙じゃねーっつーんだよ。ま、「これは最高に面白い」と言っても物理化学系の本だったり、難しい述語を使うような本はやっぱり放置なんだけどね。
どういう本が彼女の「栄養」になってんでしょうねえ。
角川書店 (2007/10/29)
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