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突然ですがこちらに移転しました。

『芝浜謎話』は面白いよ

落語の本をいつも買っている本屋のおじさんに、「こういう本もあるよ」と勧められた。帯に「ミステリ」とあり、この分野は滅多に気に入る本がない。「でもいつもの付き合いだしなあ」と買ってきた。

それが面白かったなあ^^。

本書には「野ざらし死体遺棄事件」と「芝浜謎話」、そして「試酒試」という3作品が収められている。後の2作品は関連作品なのでまとめて読んで面白い。

ただ最初の作品が面白くなくて、この1作品目を読んだときにはすごく後悔した。ストーリーが面白くない上に、「抜け雀」の「ごふこうのだん」のセリフを「ご不幸の段」と書く最悪な間違いもあって、時間を作って読んでみたことを心から残念に思った。

自分で買った本ならここで読むのをやめたかもしれないけれど、付き合いのある人から勧めてもらったものなので一応最後まで読むことにした。で、後半がすごく面白かった。

小説なので「そりゃねえんじゃねえの」と思わせるところもありながら、実は落語のお勉強になるような部分も随所にある。落語の世界における師弟の話を描いたもので、「ミステリ」となっているもののミステリではない。読み終わりかけたときに涙腺を刺激されてしまったなあ。

まあ師弟愛を描いた作品なんていろいろあるよといってしまえばそれまで。感動仕立てにするのも定番ではある。ただそれが散りばめられた落語話と相まって、落語ファンならしっかり読める作品に仕上がってると思う。

1作目は「え~?」と思ってしまう人が多いと思うので、時間のない人は2作目から読んでみると良いかも。