いろいろあるんだけれど、最初に「おお」と思ったのはこれ。
「お兄ィさんとお兄ィさんの出来が少しばかり違うんでぇ」。たとえば「大工調べ」に出てくる。「お兄ィさん」が二度出てくるのがいいよね。
落語名人会(21) 古今亭志ん朝(13) 「黄金餅」「大工調べ」
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たとえば「五人廻し」には「のこのこ引っ込むようなお兄ィさんじゃあねェんでいっ!」という表現がでてくる。どちらかと言えばこちらも好きだけど、わりと「普通」。通常の会話でも「俺はそういう人間じゃあねえ」なんてのは使ったりする。
でも「そういう人間とは人間のできが違う」という繰り返し表現をすることは滅多にない。ってか、落語を聞き始める前なら使うこともなかったろうな(今後はあるかもしれない)。
あと「抜け雀」などに出てくる「ご不孝の段」という表現。こちらは一瞬「不幸の段」という字を当てはめて聞いてしまい意味がわからなくなる。ちょっと考えて「ああ、不孝なのか」と、ある種「考えオチ」風の爽快感もある。
と、この表現が大好きなだけに『芝浜謎噺』にあった「ご不幸の段」という表現があったのは残念だったな。こちらの本では「親不孝」も「親不幸」と表記していた。編集部側のミスということなのかもしれない。
ちなみに『芝浜謎噺』。ちょっと気に入らない短編も入っていたけれど、表題作は面白かった。
芝浜謎噺 (神田紅梅亭寄席物帳) (創元推理文庫)
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志ん朝の落語〈1〉男と女 (ちくま文庫)
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