気になったこと日記 on はてな

突然ですがこちらに移転しました。

偽「目的語」サンプル集

言葉の話だけど、辞書を引くわけじゃないのでこちらに。話のもとは『理想の国語辞典』。

理想の国語辞典

理想の国語辞典

 

やや流行気味の辞書関連本と違って(出版年も相当に前だ)、あまり軽いノリはないので要注意。この中にあったのが「偽・目的語」の話。

「肌を脱ぐ」という慣用句がある。この「肌」は表面的には「脱ぐ」の目的語になっているが、意味的にはそうではない。これは、本来の目的語が省略された表現と見ることができる。

ああ、そりゃそうだ。「慣用表現だから」ということできちんと分析しなかったけれど、「偽・目的語」シリーズなんだな。いくつか例が挙がっている。

括弧の中に、本来の目的語と考えられるものを補記。

(1) ノート(に記録)を付ける。

(2) タバコ(に火)をつける。

(3) 黒板(の字)を消す。

(4) 腕(の袖)をまくる。

(5) 役所(から身)を退く。

2番とか3番は「つける」とか「消す」の意味が変わっているんじゃないかとも思ったりする。 

ちなみにこの「偽・目的語」解説は本書の中のごくごく一部。参考のために目次を書いておこうかな。

第一部 国語辞典ここが足りない
一 類義語の識別
ニ 日常語の意味
三 助詞の記述
四 文系の記述
五 連語
六 定義の堂々巡り

第二部 多義語
七 多義語と同音異義語
八 多義の意味関係
九 多義語の構造化

第三部 辞書の記述
十 記述項目
十一 辞書記述見本

まだ「類義語」のところを読んでる。「着陸と着地」の違いなんかにもこだわっている。

当然ながら多くの辞書を参照している。よく引かれる類語辞典で持っていないのがある(ってか、類語辞典、紙版は1冊しか持っていない)。欲しいのはこれ。

使い方の分かる類語例解辞典

使い方の分かる類語例解辞典

 

 これとは別なのかな? 新しいものもあるみたいだ。

使い方の分かる類語例解辞典

使い方の分かる類語例解辞典

 

類語辞典、ぜったいに面白くなるはずと思うんだけど、手にとって見ると意外に面白くないものもあったりするんだよな…。編集方針とかが難しいものなのかもしれない。