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突然ですがこちらに移転しました。

ハードボイルドを読んでみた

『償いの椅子』(沢木冬吾)という作品を読んでみた。沢木冬吾という人は本作が初めて。率直な感想を言えば、「こういう作品を読みたがる人もいるのだなあ」という感じ。

まあそもそも「ハードボイルド」というジャンルにあまり興味がないのもある(Wikipedia の「ハードボイルド」)。日本のハードボイルド作品で、照れつつも、「男性用のハーレクイン・ロマンス」(斎藤美奈子)という意識を持たずに読むことができるのは大藪春彦Wikipedia の「大藪春彦」)くらいかなあ。西村寿行作品の一部(Wikipedia の「西村寿行」)にもそういうのがあるかな?

話を戻してこの『償いの椅子』は、まさに「男性用のハーレクイン」の典型のような作品(断っておくけれど斎藤美奈子氏の評論は好きじゃない)。

能見という主人公を立てて、その周囲にアイデアプロセッサ的に「ハードボイルドの要件は?」というアイデアを繋いでいき、それを全部小説に詰め込んだという感じ。つまり主人公と、その周囲の関係が薄っぺらく感じられてしまう。主人公の存在がチープになってしまう。

ハードボイルドの典型要素はほぼ詰め込まれているので、書評を書いている「ブックファースト・アトレ大森店石坂大」氏のように「これぞハードボイルド」と舞い上がってしまう人もいるのかもしれないなあ…。本作に「これぞハードボイルド」と感じてしまうなら、少数とは言え存在する本格的なハードボイルド作品に目がいかなくなってしまうのだろう。

関係ないけど「ブックファースト」の渋谷店。昔『ウォーターシップ・ダウンのウサギたち』を求めると、その本の存在を知らない店員がいた。「大規模書店とは規模だけが大きいところであったか」と強く感じたイベントだった。今回の「ブックファーストアトレ大森店石坂大さん推薦!!」の帯を見て、ますますブックファーストの評価が下がってしまった^^。