今日は「宇宙からの警告の日」らしい。何か笑えるネタなのかと思ったらそうじゃない。スペースシャトル「チャレンジャー」が打ち上げ直後に大爆発を起こした日とのこと。
この事故についてはいろんな本が出てる。ファインマンもエッセイの中でかなりの部分をこの事故に充てていた。
で、どこの誰がこの日を「宇宙からの警告の日」と呼び始め、あるいは呼んでいるのかは知らない。だけどすごくムカツクのは大江健三郎が『治療塔』の中でこの事故を「宇宙意志からの警告」と表現しているらしいこと。オリジナルを読めば「ムカツキ」もおさまるのかもしれないけど、あまりに軽薄で薄っぺらい言葉に聞こえる。
まあ大江健三郎という作家自身。『雨の木(レイン・ツリー)』以前はエッセイも含めほとんど読んではいたけれど、『雨の木』の頃から彼の作品はほとんど読めない。こう宣言してしまうのは、あるいは恥ずかしいことかもしれないけれど、でも好きだったのは『性的人間 (』や『芽むしり仔撃ち』の頃の大江健三郎だった。
ある意味「宇宙からの警告の日」というのは、あまりに暴力的な言葉で、それは確かに「大江健三郎」なのかもしれない。しかしこの言葉の中の暴力はあまりに軽薄な、それこそ「環境ホルモン」的な匂いすらしてしまう。
『治療塔』を読まずに言ってることは繰り返しておくけれど、しかしそれにしても、よくもこれほど恥ずかしい言葉が広がってしまったものだと感じる。
衝撃のスペースシャトル事故調査報告―NASAは組織文化を変えられるか
posted with amazlet on 08.01.28
おすすめ度の平均: 

