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突然ですがこちらに移転しました。

友だちに落語DVDを貸してくれと言われた

貸し借りってのはまあ一般的に行われてることなんで許して貰えるかなあ。

友だちに何枚か落語のDVDを貸すことにした。メインは「古今亭志ん朝全集」の上下の全16枚より。

ぼくが落語に興味を持ち始めたとき、最初の頃(と言っても1月の話)に聴いたのは志ん朝だった。「聴きやすい人だなあ」とだけ思ってたんだけど、今はバイブル扱い。「ラグビーで言うと大西鐵之祐先生だな」なんてことを思ったりもしてる。ただ、大西鐵之祐先生とはなんどかお話しする機会もあったんだけど、志ん朝を生で観なかったのはすごく残念。

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今回この全集から貸すのは以下の通り。全部貸すと観たくなったときに困るしね。もう何回も見直したものを中心に貸すことにした。

貸す際に「この作品はこうだよ」なんてことを伝えると先入観ができてしまうので、「あとで見てね」とメモを渡す。メモに書いたのは次のような内容。

  • 古今亭志ん朝
    文七元結
    ・火焔太鼓

    どちらもあまりに有名な作品。確か「火焔太鼓」はお父さんの十八番だったとか。

    文七元結」は、文七にお金を渡す場面について「あそこで渡すかねえ?」なんて議論があるそうな。ぼくにとっては渡すことがとても自然に思える。もちろん逡巡はあるけれど。この「逡巡」を表現するシーンも素晴らしい。
  • 古今亭志ん朝
    ・二番煎じ
    ・抜け雀
    ・四段目

    「二番煎じ」はとても有名。「四段目」は歌舞伎を元にしたもの。「抜け雀」はなんだか最近寄席で演じられる頻度が高くなってる気がする。
    今回落語に凝るまで「人情系」落語の存在をイメージしたことがなく、存在自体を知っても「なんで落語で人情系なんだよ」なんて思ってた。でもこの「抜け雀」や、後に出てくる「浜野矩随」なんかは確かに「名作」。ぼくの大好きな作品。
  • 古今亭志ん朝
    ・大工調べ
    ・宿屋の富
    ・浜野矩随

    「宿屋の富」はともかく面白い。いわゆる「落語らしさ」のよく出ている作品と思う。他の演者でもいろいろと揃えた作品。

    「大工調べ」もすごく有名なんだけど、話があまり好きじゃない。志ん朝の作品としては好きなんだけど、他の作品ほど繰り返しては見ていない。ただ、ちょっと「落語のリズム」に慣れたところで棟梁の啖呵を見直すと愕然とするかもしれない。この啖呵は確かに「ものすごい」。

    「浜野矩随」は超のつく人情物。ぼくはこれを見るたびに声を出して泣いてしまう。まあ「落語」のイメージからは離れてしまっているかもしれず、嫌いな人も多いんだという作品。尚、母親の死に疑問を持つ人がいたり、あるいは死なないように演じている人もいるとのこと。これもぼくにとっては死ぬことが自然。自分の全霊をかけて神頼みしたのなら、成果を見て振る舞いを変えることなどなく、きちんと死ぬのが正しい振る舞いに思える。
  • 古今亭志ん朝
    ・寝床
    ・鰻の幇間
    ・夢金

    「寝床」は枝雀版との聴き比べも面白いと思う。作品自体も楽しい。

    ただこのDVDでのイチオシは「鰻の幇間」。演じる志ん朝がすごくいきいきしていて何度でも見直したくなる。
  • 古今亭志ん朝
    ・反魂香
    ・口入屋
    ・井戸の茶碗

    ぼくの知り合いも最近落語に興味を持ち始め、いくつか聞かせた中で「『井戸の茶碗』はこれぞ落語というかんじですね」と言っていた。
  • 志ん朝下2
    船徳
    厩火事
    ・芝浜

    いずれもむちゃくちゃ有名な作品。人情系だけど、ぼくは「芝浜」が好きだな。人情系といっても笑いの要素が大きくて良いバランスがとれてると思う。

    この「芝浜」は柳家小三治という人が演じたものも出ていて(ぼくはCDだけ持っている)、実はそちらの方が「泣ける」。だけどトータルなバランスでみたときはぼくは志ん朝版が好き。

志ん朝ばかりではわかりにくいかと選んだのは枝雀枝雀落語大全を持っていてどれも面白いんだけど、まずは第一集の「寝床」と「代書」。

桂 枝雀 落語大全 第一集 [DVD]
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「寝床」は志ん朝版もあり。聴き比べが楽しい。でもこのDVDではやはり「代書」。出てくる「生年月日!」はあまりに有名なクスグリ。生まれた日ぃのことについてのやりとりは何度聞いても笑える。

そしてもう一枚は現役の噺家から、古今亭志ん輔。演目は志ん朝のものと同じで、比べてみるのが楽しいと思う。ただよく考えるとぼくはこのDVDをまだじっくりと見てないな…。寄席で何度も見てるから、戻ってきてから改めて観ることにしよう。

と、「文七元結」をちらと流してみてみたんだけど、志ん朝から受け継いでいる部分と独自の部分がわかりやすくてすごく面白いと思う。