今日、鈴本演芸場に出かけたのは悲しい思い出として残りそうだな。
毎度同じ話となる馬風や川柳の楽しみ方がわからないってだけじゃない(まあそれも大きいんだけど)。主な悲しみは客席から。
花見シーズンで、かつ上野という場所だからちょっといやな気はしてたんだよなあ。
現地には11時30分に到着。短いながらチケット購入の列がある。まず最初は自らが詰めて並んでいないせいなのに、自分の前に並ぼうとした人に対して鼻で「ふん!」(あっちだ)と指示した人。「ふんっ」とか言う前に列は詰めなよ。で、口で言えばいいと思うんだよなあ。
そんなことで気分が悪くなる。
12時会場で列が動き始める。突如ぼくたちの前に現れた壮年カップル。鈴本演芸場の係員の対応は良かったな。「後ろに並んでください」。その壮年カップルが「並んでたのよ!」というのを聞いて「並んでいたなら結構です。並んでらしたんですね?」と。
客に向かって「嘘つけ、並んでねえよ」とはあまり言えないもんなあ。カップルの言葉は大嘘なんだけどね。
そんなこんなで「やれやれ、花見の時期の上野だよ」と(自粛しろよ。いや、自粛しちゃったからこっちにきちゃったのか?)。
- 春風亭ぽっぽ 「牛ほめ」
- 川柳つくし 「健康診断に行こう!」
- 柳家小せん 「あくび指南」
- 鈴々舎馬風 漫談
- 古今亭志ん輔 「目薬」
- 桂南喬 「無精床」
- 三遊亭歌之介 「竹の水仙」
- 橘家圓太郎 「祇園祭」
- 柳亭小燕枝 「長屋の花見」
- 川柳川柳 「ガーコン」 & 「ラ・マラゲーニャ」
開演前の雰囲気はもちろんプログラムがはじまっても継続される。こんな日に女流二連発ってのも問題だったんじゃないか。客席のざわめきはおさまらず、普通の声での会話が継続。人が誰を聞いていようがおかまいなし。「あたしら客なんだから」と顔に書いてあった。
で、まあぼくの前の席の夫婦もなんだかんだと話し続ける。噺の続いている最中だろうががさがさと何かを取り出して音を出しながら食い続ける。面白かったのは奥さんの方。「あの斜め後ろの人うるさいわね!」。
まあ確かに斜め後ろのおじいさんはうるさかった。噺家が何か言うと「ふん。ふん」と声に出していちいち返事をする。「あはは。そりゃねえよ」なんて返事をする。まあ「口元がゆるくなってしまった人なんだろう。
このおじいさんもまあ迷惑に感じたけど、夫婦で勝手に話をしていた奥さんも十分迷惑だったんっすけどねえ。
志ん輔が演じる瞬間は、ほんの一瞬客席もステージも一体になった感じがした。志ん輔がいつものパワーで、パワーの活きる「目薬」をやってくれたのは良かった。
ただ結局はここまで。「無精床」「竹の水仙」「祇園祭」「長屋の花見」と、プログラム的には面白い話が続いたがいかんせん今日の客を巻き込む「パワー」がない。また結局はざわざわとまとまりのない客席に逆戻り。
今日が初めての寄席だったら絶対に寄席ってものが嫌いになってだだろうな。今日が初体験じゃなかった幸運を思いながら会場をあとにすることになった。