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歴史「総合」

歴史総合」という科目を意識した、『世界史の考え方』という本を読んだ。取り上げられる参考書が、80年代〜90年代にかけての社会学書籍で、その時代を大学生としてすごしたぼくにはすごく面白い本だった。

ただこの本。「歴史総合」という科目を「否定」する本なのかもしれない。

本書で論じられることにつき、いちいち頷きながら読めるのは、参考書をほとんど読んでいて(90年台以降のものについては読んでないのもある)、テーマに基づいた「論点」を、自らの知識に基づいて理解しているからだ。

本書が「歴史総合」の学徒に求めるのは、「基本書の理解」、「論点の整理」、「最近の学説の把握」といったところだろうか(どのように求められているかは、本書を読めばすぐにわかる)。

なるべくやさしい基本書を取り上げて、読者の感じる敷居を下げようという努力はある。しかし結局「総合」の把握には、最低限の基本書理解が欠かせないと示しているのは間違いない。

日頃、中高生と触れる中(知らない学校から日比谷高校までのいろんなレベルで)、たとえば本書の求める「基礎知識」を持っている高校生など皆無だと感じる。結局「歴史総合」という科目は、半端な知識で半端な主張をする生徒を増やすことにのみ役立つのかもしれない。

たぶん「歴史総合」は「知識偏重はよくないね」という視点から生れた科目なんだろう。でも、知識もない生徒に、「総合的視点」など持てないんだよな。

結局「総合」の名を関する高校のほとんどが低レベル校であることと同様に、「歴史総合」という科目も、「落ちこぼれ向け」の科目になるのかもしれないね。そんなところに教員を割くのは大いなる無駄だと思う。


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