青チャート「基礎からの数学 II」を読んでいる。まあ、趣味だ。平成20年の改訂版第3刷。読みながら、昔、わくわくした話を思い出した。たとえばこんなの。
虚数にも、実数と同じような大小関係があると仮定し、たとえば、i>0とする。この両辺に i を掛けると、i x i > 0 x i すなわち i^2 > 0 となるが、実際には i^2 = -1 であるから、これは矛盾である。一方、i<0 としても同じように i^2 > 0 となって矛盾が生じる。更に、 i ≠ 0であることは明らかである。
高校生の頃、こういう話に興奮しまくっていたな。
「大小関係があると仮定する」のだ。
「正しくないのは明らかなんだけど、まあ数字って一般的に大小関係あるからね。虚数ってのも、普通の数字で表すことのできない値を表すためのものだし。だから大小関係があると仮定してみようか」という「誘い」。あるいは「罠」だ。
くらくらする。
i > 0 と仮定したり、i < 0と仮定した上で、不等式の両辺に掛けるのも素敵だ。
「0より大きいか小さいかで、処理手順は異なりますけれど、いずれにせよ矛盾しますね」という、逃げ場をなくす追い詰め方にぞくぞくする。
一般的な社会生活の場では、こういう「分類」や「追い詰め方」を「屁理屈」であると呼んだりもする。あるいは「理屈の上ではそうだけど…」と言葉を濁したり。
「理屈でそうなるんだったらそうすれば」と思ったりする人は不適格者扱いになったりもするんだな。
高校これでわかる数学II+B〈数列・ベクトル〉 (基礎からのシグマベスト)
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数列やベクトルな人はそんなに陰険じゃないのかと誤解しがちだけど、結局のところ数学は陰険に収束していくんじゃないかと思う。うん、「屁理屈」はちょっと誤解だけど、まあ「陰険」ではあると思うな。
難しいとされる問題を解くときは、たいていみんな「えへ。えへへへへ」なんて言いながらとくもの(それは「陰険」じゃなくて「変態」か)。