良い本だった。
ぼく自身、長屋に住んだ記憶がかろうじてあるし、土壁の記憶も火で風呂をわかしたこともある。奄美の暮らしの中で「実用」として提灯を使ったこともあるから、決して「新しい」人間じゃあない。
母もうちで大島紬を織っていたりしたしな。
それでも忘れていることや知らないことは多い。落語を聞く人なら誰も「不定時法」について調べてみたくなったりはすると思うけれど、それでも実際の「生活」の様子はわかりにくい。
大江戸生活体験事情より、不定時法 posted by (C)torisan
そんなときに参考になったし、また読んでいて面白かったのが本書。挿絵も豊富で挿絵を見るたびに落語の噺が思い浮かんだりもする。繰り返しになるけれど、挿絵が本当に素晴らしい。こんなに身のある挿絵が入った本は久しぶり。
大江戸生活体験事情より、下駄の歯入れ屋 posted by (C)torisan
現代からする江戸時代の話というと、どうしても現在のもつ無駄の指摘やらなんやらが多く、読む前からそういう「主張」に疲れてしまったりもする。実は本書にもそういう側面がないではない。だけどそういう部分にすら「楽しみ」を感じることもでき、すごく満足を感じる本だった。
大江戸生活体験事情より、江戸時代のかまど posted by (C)torisan
文庫本の値段が高くなっている昨今。この内容で533円も嬉しいところ。
大江戸生活体験事情 (講談社文庫)
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石川 英輔 田中 優子
講談社
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目次(内容が重複するところがあるように思えるのは、本書が2名の著者によって記されているため):
- 知識はエネルギー
- 時刻がうみだすエネルギー
- 天体の動きで生きる快適さ
- 昔のこよみによる生活
- 旧暦を楽しく使う法
- 火打石でひをつける
- 火打石の体験
- 行灯の暮らし
- 行灯でものを見ると
- 書くこととその道具
- 文字を面白がる
- 着物での暮らし
- 着物と洋服のエネルギー
- 木製品を使う
- 下駄をはく
- いろいろな木製品を使う
- 親孝行とエネルギー
- 終章