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突然ですがこちらに移転しました。

『資本主義という謎』(水野和夫・大澤真幸 NHK出版新書)がものすごく面白い

日曜日の日経で見つけて購入した本。まだ読んでいる最中なんだけど、「なるほど」も「そうなのか」もたくさん。読了後にいろいろと勉強したくなる刺激満載です。

そんな本から、いろいろと抜粋をツイートしているけれども、友人の目にとまったのが次のもの。

「む。そうなのであれば、ジェノバはその後どうなったんですか」と。

資本主義という謎 (NHK出版新書 400)実はこの後、イギリスやオランダによる東インド会社設立の時代となり、世界市場が統一化(局所的に見れば拡大化)していくことになる。それを機にジェノバの金利は急騰したということが書いてある。

ただしそれ以外にも動きはあったとのこと。

そもそも利子がつかなくなるというのはすなわち投資機会が消滅するまで投資がいきわたったということ。しかしそれでも投資機会を作り出したいのが資本主義(私見)。

たとえば免罪符を売って金の動きを作って豪華絢爛な寺院を作った。1505年にも公共投資を兼ねてサン・ピエトロ大聖堂など、いろいろな大聖堂の改築なんかも行っている。そこでなんとか金の動きや、投資の機会を生み出していったのだと。

「日本も同じだったら何か参考になることがあるかな」と思ったのだと件の友人。もちろん現在の日本との比較がモチーフであってみれば、当然比較論も述べられている。

投資先がない点では五世紀前のイタリア人も今の日本人も同じですが、雇用と収益性の観点から考えると、残念ながらイタリア人のほうが一枚も二枚も上手だと思います。イタリア産ワインは数世紀後の今でもブランド価値を保ち、高価な値段で外国人が購入します。…豪華絢爛な寺院はイタリアの重要な観光産業です。

日本も国が主導する投資を行ったけれど、残念ながら「定期便のない飛行場やタヌキしか走っていないと揶揄される高速道路をつくってしまった」と。

公共事業が日本を救う (文春新書)日本の公共事業については言い古されていることだけれど、「金利」的に同様な状況にあった、昔のイタリアと比べる手法と、そして遠い未来から該当国のふるまいを振り返るやり方が面白いなあ(あるいは一般的な手法なのかもしれません)。

まだ半分も読んでない。一番期待しているのは「第四章 成長なき資本主義は可能か?」という部分。経済学を知らないぼくは「成長なき資本主義」というのは形容矛盾だと思った。資本主義には必然的にフロンティアが必要で、それを「成長」という形で消化していかないとシステムが成り立たないのだと思ってた。TPPなども「消化すべきフロンティア」ということで、導入がシステム的必然なんじゃないかと思ってる(あるいは、不勉強にして、そう思ってる)。

そんな素人の先入観に、どんな回答を示してくれるのか、とても楽しみにしているのです。

資本主義という謎 (NHK出版新書 400)
水野 和夫 大澤 真幸
NHK出版
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