「瀬尾まいこ」を知った3月。マイ「辞書ブーム」は継続中。
瀬尾まいこは「理想のツイッタラー」のような感じ。あらゆる物事に肯定的な意味ばかりを見つめて物語をつくる。
小説中には「不倫」も多く登場する。「不倫が素晴らしい」とするキャラクターではないけれど、「不倫をしても、しているのは人間なのだから素晴らしいはず」という信頼感があったりする。その「信頼感」を少々重く感じてしまうときもあるけれど、基本的には、どこかに楽しみを見いだせる小説が多い。
山本一力は『ジョン・マン』も面白いけれど、実はこれ四部作。まだ前半しか読み終えていない。『研ぎ師太吉』のテーマは個人的にどうでも良いものだったけれど、随所に登場する料理モチーフがとても楽しめた。ストーリーはおいといてかまわないと感じる作家は珍しい。
国語辞典ブームは今のところまだ継続中。但し、『三省堂国語辞典』第四版の通読計画は未だ「い」で足踏み中。
今月は『広辞苑』第三版机上版が手持ち札に増えた。机上版を見るのは初めて。大きくて机上での扱いに困ったりするけれど、いったん開くと没入感はあるかな。
とても久しぶりに小説をたくさん読んだ3月だった。
2014年3月の読書メーター
読んだ本の数:36冊
読んだページ数:7740ページ
ナイス数:47ナイス
小学生の学力は「教科書」中心学習でグングン伸びる!
読了日:3月31日 著者:親野智可等
強運の持ち主 (文春文庫)の感想
「そんな時、アルバイト情報誌で見つけたのが、占い師の仕事だ」というわけで始めた占い師仕事の物語。一緒に住む男が「最強」の運を持つらしいけれど…。
読了日:3月30日 著者:瀬尾まいこ
温室デイズ (角川文庫)の感想
「塾に行かせてほしいと訴えたこともあるけど、空手を習わせているじゃないかとあっけなく却下された」女の子の中学生活。瀬尾まいこ風「信頼」の物語のひとつなんだろうけど、結構キツイ。
読了日:3月29日 著者:瀬尾まいこ
さえずり言語起源論――新版 小鳥の歌からヒトの言葉へ (岩波科学ライブラリー)の感想
「さえずりが言語の起源である」と、どこまで本気で書いたのかはわからない。内容として「ジュウシマツをヘリウム空気の中でうたわせてみると、人間と同様に、高次の倍音が出るようになり、変な声に聞こえるようになった。ジュウシマツ自身も変な声になったと思ったようで、首を傾げたり、途中で歌をやめたりしてしまう」とか「うたっているジュウシマツにフラッシュを浴びせて驚かす実験を行い、歌が止まりやすい部分と止まりにくい部分があることを見つけた。止まりにくい部分がチャンク構造である」など、変な(?)実験が面白い。
読了日:3月29日 著者:岡ノ谷一夫
ジョン・マン 大洋編
読了日:3月28日 著者:山本一力
科学を育む (中公新書)
読了日:3月27日 著者:黒田玲子
ジョン・マン 波濤編
読了日:3月25日 著者:山本一力
戸村飯店 青春100連発 (文春文庫)の感想
「アクエリアスはコカコーラやろう。そやけど、ポカリは製薬会社が作ってるから一番効く」というオヤジのいる中華料理屋で育った兄弟の物語。
読了日:3月25日 著者:瀬尾まいこ
優しい音楽の感想
「優しい音楽」の主人公曰く「大学に入学する時、兄も入学祝いに辞書を三冊くれた。女の子に辞書を贈る男の人がこんなにもいるなんて、不思議な感じがする」と。男の子の振る舞いは、いろいろ不思議に思われるのだろう。もちろん逆もある。でも「誰かに治療してもらうと、自分で治療する二倍の早さで完治するらしい」というのはたぶん男女共通だろう。
読了日:3月24日 著者:瀬尾まいこ
おしまいのデートの感想
「映画はよっぽど暇な時に一人で見るもんだ。隣に知っている人が座っているのに、黙ってでっかいテレビを見てるなんて時間がもったいない」と主張するおじいさんとのデートについてのお話から、見たい映画が違う場合は見終わってから待ち合わせね、というお話まで。
読了日:3月23日 著者:瀬尾まいこ
号泣する準備はできていた (新潮文庫)の感想
子供に、死神をすももの木の上にとどまらせるというような話をしてはいけないと教えてくれる話。死神がすももの上にとどまると、死にそうな病人や、死にたい人たちが死ねずに、一層苦しむことになるのだ。ところで、「どうしてー」とか「けちー」と、語尾を伸ばす大人はばかか、優しいかのどちらかなのだそうだ。
読了日:3月23日 著者:江國香織
金田一京助と日本語の近代 (平凡社新書)
読了日:3月22日 著者:安田敏朗
ことばから誤解が生まれる - 「伝わらない日本語」見本帳 (中公新書ラクレ)
読了日:3月22日 著者:飯間浩明
遊ぶ日本語不思議な日本語 (岩波アクティブ新書)
読了日:3月22日 著者:飯間浩明
ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂の感想
「仲間がまだ島にいるんです」…そういったとたんにわかった。この奇妙な連中には通じていない。そのとき、万次郎は思い出した。南蛮人は頭が悪いらしい。そんなことを思う主人公が「普通」であった時代の物語。
読了日:3月21日 著者:マーギー・プロイス
三省堂国語辞典のひみつの感想
静かに号泣するという用例があるのはこの本で初めて知った。また「たられば」という言葉が普及するまで「ればたら」という言い方があったことも思い出した。さらに「失笑」が、徐々に「笑いを失う」という意味になりそうだということに驚いた。誰にとっても身近な存在の「言葉」。それを見つめ直すことがつまらないわけがないかな。楽しめた。
読了日:3月20日 著者:飯間浩明
研ぎ師太吉の感想
具(つま)のだいこんも「細切りながらも、シャキッとした腰が残っている。軽く下地(醤油)につけて口にすると、だいこんの辛さが魚の残り味を洗い流した」なんて表現や、出刃包丁の話で「料理人は刃渡りの下(根元)四分を叩き用に、上(刃先)六分をさばきや身おろし用にと使い分ける」なんて話もあり、料理薀蓄なども楽しめる。また、同時代だけに、ところどころ「落語」風を感じさせるところもあって、落語好きはきっと大いに楽しめる。
読了日:3月19日 著者:山本一力
寒桜の話
読了日:3月16日 著者:牧野富太郎
教授の異常な弁解 (文春文庫)の感想
妻に従順になってほしいと思ったわたしは、従順さを模倣させようとして、みずから従順な行動を繰り返したところ、妻は平気で命令するようになった、というようなことが書いてある。
読了日:3月16日 著者:土屋賢二
脳ミソを哲学するの感想
奥谷喬司氏(『イカはしゃべるし、空も飛ぶ』の著者)とのイカの話が最高に面白かった。イカというのは「すぐ死んじゃうし、ほかの魚を食うし、共食いするし、どうしようもない」生物らしいですよ。おまけに「スルメを作るとすると、外套膜と足があればよくて、内臓はせいぜい塩辛の材料になるくらい…しかも、ひとつの肝臓があればイカ何十ぱい分の塩辛ができる」ので、産業廃棄物となる部分が多いんだそうです。
読了日:3月15日 著者:筒井康隆
百物語
読了日:3月15日 著者:森鴎外
世界は2乗でできている 自然にひそむ平方数の不思議 (ブルーバックス)
読了日:3月15日 著者:小島寛之
国語辞書一〇〇年―日本語をつかまえようと苦闘した人々の物語の感想
本文より引用 >> (日本国語大辞典の第二版で)まず目に付くことは、引用文献の全てにその成立年ないし刊行年が西暦で付記されているところです。(中略)ともあれ、年代表示という点でも、ようやくOEDに追いついたことになります。加えて言えることは、OEDが主として中期英語以降の文献を扱っているところから四桁の西暦がならんでいるのに対して、日国には三桁の文献も多く並んでいて、なにやら日本語の歴史を誇りたい気分にさせます。
読了日:3月14日 著者:倉島長正
図説 日本の辞書の感想
歴史的辞書を50冊ほど、写真入りで解説(見開き)。写真が参考になるしとても面白い。取り上げているのは「節用集」、「日葡辞書」、「和漢三才図会」、「英和対訳袖珍辞書」、「語彙」その他。
読了日:3月13日 著者:木村一,山本真吾,陳力衛,木村義之
国語辞典はこうして作る 理想の辞書をめざして
読了日:3月12日 著者:松井栄一
東京八景 (苦難の或人に贈る)の感想
「自分の苦悩に狂いすぎて、他の人もまた精一ぱいで生きているのだという当然の事実に気附かなかった」なんてことが、いかにも太宰治風に書かれている話。
読了日:3月12日 著者:太宰治
論文捏造 (中公新書ラクレ)
読了日:3月12日 著者:村松秀
猫鳴りの感想
作品としてともかく、自分がどう受け取るかはともかく、ペットを亡くした人が読もうとしていたら必死にとめるだろうな。
読了日:3月10日 著者:沼田まほかる
ユリゴコロの感想
プレビュー版をまず読んで、あまりの「怖さ」で直ちに本編ゲット。 どうなのかな。「信じられないほどラッキーなお母さんを巡るぼくと家族の物語」という、トラジックコメディ風の楽しみ方の方が適しているのかもしれない。
読了日:3月9日 著者:沼田まほかる
雛祭りの話
読了日:3月8日 著者:折口信夫
理想の国語辞典
読了日:3月4日 著者:国広哲弥
天国はまだ遠く
読了日:3月3日 著者:瀬尾まいこ
プロ家庭教師の技 (講談社現代新書)
読了日:3月3日 著者:丸谷馨
卵の緒の感想
『卵の緒』のお母さんがどんなお母さんかというと「母さんは『レンジと乾燥機とエレベーターは悲しい発明品なのよ』と言う。レンジは決して食べ物をおいしくしてくれないし、乾燥機は服を気持よくしてくれない。エレベーターは足を老化させるかららしい。でも、夕飯時、電子レンジは我が家でフルに活用されている」というお母さんだ。
読了日:3月3日 著者:瀬尾まいこ
新釈 走れメロス 他四篇 (祥伝社文庫 も 10-1)
読了日:3月2日 著者:森見登美彦
図書館の神様 (ちくま文庫)の感想
「失敗が少なくて、手が込んで見えればいいのだ」。女性が男性に作る料理の真髄(コツ)。 弟は姉の住む町で知らない人の漁船に乗せてもらう。「知らない人の舟になんか乗るんじゃない」という姉に「知らない人の車に乗っちゃダメだっていうのは聞いたことあるけど、舟は知らなかった」。 漱石の『夢十夜』がきっかけで不倫相手と喧嘩。弟に話すと「もっと詳しく」。不倫相手のことを話そうとすると「そうじゃなくて漱石のことだよ!」と言う弟。 全編を紡ぐ言葉を楽しむことのできる小説だった。
読了日:3月1日 著者:瀬尾まいこ
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