今は昔。ウェールズのカフェで怒っているおばあさんをみかけたことがある。曰く「私はトーストを頼んだのだ。しかるにこれは温かいパンにすぎないではないか!」と。
なかなか難しいことを言ってるな、というのが当時の感想だった。それからしばらくして、本件に通じる記事を日経新聞にみつけた。
欧州の人々にとって、パンとは皮を味わうもの。スライスされた食パンは皮のない奇妙なパンでしかなかったのです。で、彼らは、皮のないパンに皮を付けようとしました。そうです。カリカリに焼いたのです。 via #日経新聞
— maeda, h (@torisan3500) 2021年2月28日
トーストと産業革命 : 日本経済新聞 https://t.co/H3288RG0fH
記事に曰く、欧州ではパンは「皮」を食うものだとのこと。しかるに最近の「食パン」は「皮」がなくて白い所ばかりで気持ち悪いのだと。
「トースト」という技法は、食パンに「皮」を作るために生まれた技だという話だ。
そうとう昔になるけれど。なるほどなあ。これはかなり説得力がある。フランスパンについては「皮」を食べたいがために硬い皮をまとわせるのだという話はよくきく。イギリスパンも、本当は「皮」を食べたかったのだな。
効率をもとめて生まれた「食パン」に、「皮」をまとわせる技法が「トースト」であったそうだ。
ウェールズでみかけたおばあちゃん。「私たちはかりっとした皮が食べたいのに、お前の店は白身を温めているだけだ!」ってなことが言いたかったのかもしれない。
なるほど、トーストスタンドも、そもそもは欧州風トーストを前提としたものなのかもしれないな。