『〈読む〉という冒険』を読んだ。
実は、読むまでにかなり躊躇いがあった。すなわち「冒険」の言葉があまりに陳腐であること。また「イギリス児童文学の森へ」という、いかにも「子供を愛する本が大好きです〜」的なタイトルでヒイてしまったんだ。
でも。読んで良かった。
まず、読解(検討)の対象に取り上げている本が、定番中の定番ばかりなのが良い。児童文学ファンならすべての人が読んでいる本を取り上げている(読んでない本がある人は、少なくとも『まだ』児童文学ファンではない)ことで、読者に「堂々たる」勝負を挑む。「あなたは、この本をこんな風に読むことができましたか?」。
ごめん。ぼくは「プーさん」の話を、本書で言うようには読むことができなかった。明らかにぼくの知識不足。「プーさん」が『西部戦線異状なし』につながるという想像ができなかった。
そういう意味で、ぼくには「発見」がある本だった。
ちょっと前に読んだクソ本である『批評の教室』などとは異なる、きちんとした「読解入門」の本であった。
「児童文学」ってのは奥が深い。「児童文学好き」にはアンチ「ハリー・ポッター」が多い(当社調べ(笑))。
「児童文学」の捉え方は、もちろん人それぞれだ。でも、その「基本」を示している本だと思う。児童文学にこれから入る人ならば、本書から入れば恥をかかずに済む。大学に入学したばかりの人、とりあえず読書はこの辺りから入れば如何。
ところで。『西部戦線異状なし』は、かなり「シュール」な本だよ。今や「古典」だけど、「びっくり」したい人に薦められる「古典」だと思う。